おいでませ理科準備室 はてな支部

妖怪が潜むところ、備忘録

夢大路に狂って歌舞伎と能を観た夏〜泉岳寺参拝を添えて〜

 ――そうだ、歌舞伎と能を観に行こう。【完】

 

ごあいさつ

 おはようございます、こんにちは、こんばんは。お初にお目にかかります、わたくし名を骨格標本(@fracture1110)と申します。以後、お見知りおきいただければ幸いです。

 

 今回は御縁があり、めのフェ様(@Menophe9901)が主催されておられます企画『ぼくのわたしのスタァライト Advent Calendar 2023』に備忘録も兼ねて、今夏の思い出を少々綴らせていただくことになりました。

 

 拙い文章で所々読みづらいところがあるかもしれませんが、何卒宜しくお願いいたします。

 

目次

 

 

わたしのスタァライト遍歴

※読み飛ばしていただいて問題ありません

 

 まず本編へ入る前に、ざざっとわたくしめのスタァライト遍歴をご紹介させていただければと思います。

 

 私が初めてスタァライトに触れたのはアニメから、TV放送からおよそ2年半後のことでした。ちょうど、劇場版の公開を控えていた時期です。

 

 お恥ずかしながらTVアニメ放送当時、別界隈に居た頃の知り合いたちが続々とスタァライトを視聴し、口々に「This is おいも!」とTwitterで盛り上がっていた頃……わたくしめは天邪鬼になってしまい「そう簡単に釣られるものか」とスルーしてしまっておりました。

 

 それから時は流れ、大学卒業を控え国家試験の受験を終え、合格発表まで暇を持て余していた2021年3月。仲良くして貰っていた方に「国試の結果出るまで何も出来ないんだけど、オススメのアニメある?」と尋ねるとスタァライト好きそうだし見てみなよ」と返ってきたのです。

 

 名前も知っていて、2.5次元ミュージカルとアニメのキャストが一緒の作品、というのは存じていたのですが、それ以上は知らず。

 

 こうして背中を押され、動画配信サイトでポチリ、と『少女☆歌劇レヴュースタァライト』のサムネイルを恐る恐る押すと――

 

「うわ、なんだこれ!? 好きな要素しかねぇ!!」

 

 無事にハマりました。真っ逆さまです。

 高校時代に学校の行事で学内の演劇コンクールがあり、役者と裏方どちらも経験した自分には、彼女たちのキラめきが心臓へ深く深く刺さってしまったのでした。

 

 そこから怒涛の勢いで二次創作を漁り、劇スを観て更に焼かれ、ロロロも観てまた劇スを観て……を繰り返します。

 

 背中を押してくれた友人には物凄く感謝しました、とんでもないコンテンツだと。

 

 すると、友人はある日の通話でこう言いました。

 

スタァライトにもアプリゲームがあって、そこに私の推しが居るんだよね……秋風塁ちゃんって言うんだけど」

 

 出たなアプリゲーム! これでキャラクターが倍以上に増えるやつ! と身構えます。

 

「でもさ、よく思い返してみ? アニメって『スタァライト』が軸で、"舞台少女"とは言うけれど演劇してる場面ってあんまりないよね?」

 

 言われてみればその通り。その頃の私は、舞台少女たちが『戯曲スタァライト』以外の戯曲を演じているところが気になって気になって仕方なく、飢えを覚えていました。

 

「『スタリラ』にオススメの話があるんよ、動画サイトにアップされてるから一緒に見ようや」

※当時はまだイベントシナリオがゲーム内で見返せませんでした

 

 そうして紹介してもらったのが『キラめきスプラッシュ! シンクロガールズ1950』『SHIBAHAMA』『再演あやかし見廻り浪漫譚』。私は衝撃を受けます。舞台少女たちが、戯曲を! 演じている! ありふれたアプリゲームのイベントシナリオだけど、舞台している!

 

 そこから自分でもスタリラをプレイし始めたのが、2021年の6月半ば頃でした。

 

 そうしてメインストーリーを駆け抜け、当時更新中だった『アルカナ・アルカディア』の最新話に追いつき、凛明館女学校の演劇同好会の面々とシークフェルト音楽学院の気高き君エーデルにハマり……

 

 気付くと、そう――私の心は、夢大路姉妹に掴まれていたのです。

 

 

夢大路と酒呑童子、狂いの始まり

 さて、まずは酒呑童子しゅてんどうじについてざっくりとおさらいさせていただきたいと思います。Fから始まる某コンテンツであったり、名刀を擬人化した某コンテンツでご存知の方も多いでしょう。

 

 NHKの教育テレビの番組『おはなしのくに』で『酒呑童子』というタイトルで配信がされていたので、もし良ければご覧ください。15分程で見られます。また、ざっくりと下に文字でも概要を記載してみたので、ご覧いただけると幸いです。

 

 

 ――時は平安、一条天皇が京を治めていた頃。京の若者や姫君が次々と神隠しに遭っておりました。

 

 稀代の陰陽師安倍晴明が占うと、神隠しは丹波国丹後国に跨る大江山に棲まう鬼の仕業だと分かります。

 

 そんな大江山に棲まうは『茨木童子』や『星熊童子』といった多くの鬼を従える、世にも恐ろしい『酒呑童子』という大酒飲みの鬼。酒呑童子は手下を率いて京の都へ現れると、若者や姫君を攫って側で仕えさせたり、その血肉を喰らったりしておりました。

 

 酒呑童子たちの悪行に当の帝は、源頼光みなもとのよりみつ渡辺綱わたなべのつな坂田公時さかたのきんとき碓井貞光うすいさだみつ卜部季武うらべのすえたけ頼光四天王に、鬼の討伐を命じます。

 

 帝の命を受けた頼光たちはおいの中へ甲冑と武器を隠し入れ、山伏の姿となって大江山へと向かいました。

 

 一行は途中で翁に化けた三人の神より、人が呑めば力を増し、鬼が呑むとたちまち力を失ってしまう「神便鬼毒酒しんべんきどくしゅ」を授かります。それから川の畔で涙を浮かべながら着物を洗う少女と出会い、鬼の居場所を聞いた頼光たちは、いよいよ酒呑童子の住処へと辿り着きました。

 

 頼光たちが山の中に佇む立派な屋敷の中へと通されると、人間に化けた酒呑童子が現れます。

 

 酒呑童子は一行を見るなり『お前たちが最近噂になっている、この俺を討とうと目論む頼光とその四天王か?』と疑いの目を向けました。頼光たちは『我々は山伏でございます』と、目の前に出された人間の血を血を絞った血酒や、切り落とされた人間の脚や腕の肉を涼しい顔で口にします。

 

 血酒や人の肉を食べる姿に安心したのか、酒呑童子と配下の鬼たちは、酒盛りの最中に頼光たちが差し出した「神便鬼毒酒しんべんきどきしゅ」を旨い旨いと呑みました。

 

 酒をしこたま呑んで酔っ払った酒呑童子は、奥の寝床へと引っ込みます。その頃には、他の鬼も酔い潰れて眠っていました。

 

 頼光たちはおいに忍ばせていた甲冑を身に着け、武器を手にして手下の鬼たちを次々と斬り伏せていきます。

 

 そうして奥の部屋へと進むと、そこには沢山の若者や姫君を側に置き、大きないびきをかいて眠る大きな赤鬼の姿がありました。この恐ろしい赤鬼こそが、酒呑童子だったのです。

 

 眠る酒呑童子の身体を押さえ付け、頼光は手にした刀で酒呑童子の首を切りました。すると、胴と離れた首がふわりと浮いて、怒りに満ちた首だけの酒呑童子は頼光の兜に噛み付き『鬼神に横道おうどうなきものを(鬼は嘘をついたり騙したり道に外れることはしない)』と言い残して絶命したのでした。

 

 見事に酒呑童子を討ち取った頼光たちは、酒呑童子に攫われた者たちを救い出し、都へと戻るのでした。(おしまい)

 

 酒呑童子玉藻の前たまものまえ大嶽丸おおたけまると共に日本三大妖怪とされることもある鬼で、様々な作品で取り上げられているのを目にするのも珍しくはありません。

 

 それはスタァライトも例外ではなく、『スタリラ』では2019年10月に姉の夢大路文、2022年6月に妹の夢大路栞がそれぞれ演じる酒呑童子が実装されています。

 

酒呑童子役の夢大路姉妹(左:文、右:栞)

 

☆4 酒呑童子 夢大路文(姉)

☆4 酒呑童子 夢大路栞(妹)



 

 文さんは凛明館で伝統的な大江山栞ちゃんはシークフェルトで安倍晴明の伝説をベースに作られた戯曲YIN-YANGいんようという作品内で、それぞれ酒呑童子役を演じています。同じ『酒呑童子』でも、姉妹でお芝居の雰囲気が違うところが見どころです(特に『YIN-YANG』は酒呑童子を美男子ではなく妖艶な女性というキャラ付けをしているため)。

 

 何より姉妹で演目は違えど同じ役を演じている、それだけで個人的には滾るものがありましたし、妖怪の類が好きな自分にはクリティカルヒットでした。

 

 さて、ここまで来てようやく本題に入るのですが、今では恒常かつ☆4選択チケットで入手しやすくなった「☆4 酒呑童子 夢大路文」の絆ストーリー第1話で、文さんは講談の『大江山』を聴いていました。

 

 その際、ゆっこ(田中ゆゆ子)に感想を尋ねられた際に、画像のような話をしておりました。

 

☆4 酒呑童子 夢大路文 絆ストーリー第1話より

 

 そう、文さんは演技の参考に歌舞伎の『大江山を視聴していたと言います。

 

 何処かに歌舞伎の『大江山』がないかなぁと探してはみたものの、私の力及ばず見つけることは叶いませんでした。

 

 ……そんなとき、歌舞伎を嗜んでいたTwitterのフォロワーのリツイートで、こんなツイートが回ってきたのです。

 

 

 東京は銀座にある歌舞伎座で、8月に行われる『八月納涼歌舞伎』。その第一部に大江山酒呑童子の文字があるではありませんか。

 

 こんな好機、逃したら次はない! 他の古典芸能でも『大江山』を見聞き出来る機会は無かろうかと更にサーチを進めると……

 

 

 能の『大江山』も9月に上演されるという情報が! しかも都会のど真ん中、渋谷! ……渋谷ぁ!?

 

 

 こうして、8月9月と『大江山』古典芸能ツアーを敢行する覚悟を決めたのでした――

 

 

はじめてのチケット購入

 

 

 歌舞伎のチケットの方は、チケットを取るために仕事を休みました。

 

 やはり良い席はすぐに埋まってしまう!

 

 今回は歌舞伎も能も、チケット購入時に座席を選んで購入しました。特に歌舞伎のチケットは、なかなか良いお値段……! しかし、せっかく観るなら間近に見たい! 燃え滾る情熱に身を任せ、チケットを手にいざ大江山……ではなく、まずは歌舞伎へ――

 

 

歌舞伎『大江山酒呑童子

 8月某日、それはそれはもうカンカン照りの快晴の日でした。目指すは東京の銀座、歌舞伎座

 

 銀座駅を降りて、地下をずずいと歩いて辿り着くは東銀座駅。ありゃ、一駅分歩いちまった、流石は都心だなと思っていると――

 

 そこに現れますは弁当屋。「幕の内弁当」と見えた記憶があります。

 

 そして更に進むと、巨大な地下空間にズラリと並ぶお土産屋! そこはまるで別世界、某ジブリ作品の如く神隠しに遭ってしまったと思わず錯覚しまうかのよう。

 

 うろうろしていると、地上に向かうエスカレータを発見。ドキドキしながら登った先、ギラギラと輝く日の光に目が眩み、恐る恐る目を見開くと、そこには――

 

 立派な歌舞伎座の建物が!

 

歌舞伎座

 

 そして今回の演目を描いた日本画もあります。『大江山酒呑童子』は正体を現した酒呑童子と頼光が対峙する場面が描かれており、夢中でシャッターを切ります。

 

大江山酒呑童子』の日本画

 

 震える手でチケットを握り締め、いざ入場。

 入ってすぐのところで「筋書(パンフレットのような冊子)」を購入し、座席へと向かいます。

 

 

 人生初の歌舞伎の観劇(小中どっちかの頃、映像で『義経千本桜』を観たことはありましたが)、チケットに記載された席――そこは、舞台と花道が目と鼻の先で交差する座席でした。自分で選んだ席だけど、近い!!

 

 というのも、歌舞伎では花道にある「スッポン」と呼ばれる小型のセリから妖怪や幽霊が出てくる、というのを覚えており。酒呑童子も確実にそこから出てくるだろうと睨んで舞台と花道がそれぞれ近場になるような座席を選びました。

 

 絢爛豪華な大きな幕には、これまた豪華な刺繍が施されていました。

 

 購入した筋書を読みつつ、ソワソワしながら開演を待ちます。

 

 ――刻限。いよいよ、歌舞伎座の幕が上がります。

 

 今回観に行った『八月納涼歌舞伎』の第一部は大江山酒呑童子の前に新作歌舞伎の『裸道中』という演目が上演されました。

 

 こちらは中村獅童が主演、本物だ〜! と思わずニヤけてしまいます。

 

『裸道中』は人情話で、笑えるところもあればジーンとくるところもあり、気付けば食い入るように観ていました。新作歌舞伎ということもあり、言葉の言い回しが時代劇のようで、するすると話が入ってきてとっつきやすいなぁという印象でした。

 

 さて、わたくしめはここで自身の失敗に気付きます。第一部は午前11時開始。一つ目の演目が終わる頃には、お昼時なわけです。

 右も左も分からないまま来た私は、弁当を買わずに来てしまいました。ああ、お腹減ったなぁと思っていると――次の演目の準備まで長めの休憩時間、幕間が入ります。そして、周りのマダムたちは慣れた様子で弁当やパンを食べ始めたのです。

 そして思い出す「幕の内弁当」の由来。……次の機会があるときは、お弁当を買って望みたいと思いました。

 

 幕間、なにやら大掛かりな準備がなされていきます。長い長方形の板のようなもの――「所作台」が花道から本舞台へと並べられました。

 

 刻限となり、幕間が終わります。再び幕が上がると、先程とは打って変わって、舞台上にズラリと鼓や三味線、笛など和楽器を持った人たちが並んでいます。

 

 新作歌舞伎であった『裸道中』はボロボロの家屋のセットが舞台上にドンとありましたが、そういった大道具の姿はありません。

 

 ――遂に『大江山酒呑童子』が始まります。

 

 始まりは、帝が頼光と四天王に大江山酒呑童子を討伐せよと命を下すところから。ここではまだ酒呑童子は出てきません。

 

 自身が知る流れの通り、酒呑童子討伐の命を受けた頼光たちは、大江山へと向かいます。

 

 すると、花道のセリ「スッポン」からようやく、中村勘九郎演じる酒呑童子がお出まししました。しかし、現れた酒呑童子は鬼の姿ではなく、白塗りにお歯黒を施した童子の姿。怪しさはあるものの、おどろおどろしさはありません。

 

 頼光らを歓迎する童子姿の酒呑童子は、酒盛りを始めます。一行が差し出した「神便鬼毒酒」を毒入りとは知らずに、酒呑童子は大きな盃を取り出して何杯も何杯も飲み干します。

 

 最初は嬉しそうにはしゃいで酒を呑む酒呑童子でしたが、徐々に酒を呑む姿に鬼らしさが滲み出てきます。

 

 酔った酒呑童子は千鳥足で舞うと、一旦舞台からはけていきました。その間に頼光たちは山伏の姿から、甲冑を纏って武装します。

 

 迎えたクライマックス。遂に酒呑童子が本性を現します。可愛らしい童子の姿ではなく、金色に輝く角を携え、爛々とした眼光を放つ赤鬼の姿。荒々しく舞台を舞い、花道に来ておどろおどろしく見栄を切りました。

 

 ――これが、文さんが参考にしたという酒呑童子の姿。

 

 恐ろしくて堪らないはずなのに、カッコいいと思ってしまいました。

 

 最後は酒呑童子が頼光に首を刎ねられ、怒り狂って酒呑童子が大見得を切ったところで物語は終了。第一部が全て終わりました。

 

 念願だった歌舞伎の『大江山』、酒呑童子の迫力は忘れられないものとなったのでした。

 

youtu.be

 

 

能『大江山 替之型』

 歌舞伎の熱が冷めやらないまま、気付けば9月。今年は秋の入口が全く見えず、この日も暑かった記憶があります。

 

 向かうは東京の渋谷、こんな都会のどこに能楽堂があるのかと不安になりつつ、辿り着いた先はまさかのお高そうなホテル。

 

「こ、ここで合ってる!?」と恐る恐る入ると、確かに「能楽堂」という文字が見えます。

 

 あまりに挙動不審で滑稽に映っているだろうなと思いつつ進むと――ありました。セルリアンタワー能楽堂です。

 

セルリアンタワー能楽堂

 

 選んだ座席は、これまた舞台に近い席。高層ビルの地下に、能楽堂。ここだけ異世界のような、そんな感じがしました。

 

 座席にはチラシと一緒に『大江山』の台詞が載った紙が挟んでありました。今回は上演前に解説があり、一通り説明を受けます。能の『大江山』は登場人物が多いことから、上演される機会が少ないのだとか。

 

 こちらもまた初めての能。……の前に、仕舞の『笠之段』狂言の『附子(ぶす)』が上演されました。『附子』がまあ面白い。ケラケラ笑っていたら、あっという間でした。

 

今回の演目、写真は『大江山』の酒呑童子童子の姿)

 

 狂言で温まった状態で小休憩を挟み、能の『大江山』が始まります。こちらも物語の流れは同じです。

 

 しばらくして、人間に化けた酒呑童子が現れます。このとき着けている面は「童子」の面。人間の姿で、酒呑童子は頼光たちをもてなします。

 

 

 ここで歌舞伎と少し違ったのは、酒呑童子が自らの出自を語る場面。「自身は比叡の山に住んでいたが、住処を追い出されて大江山へと流れ着いた」という旨が、酒呑童子から明かされます。

 

 上映前に「酒呑童子は時の権力者によって住処を追われ、騙された上に討たれてしまった、この作品はそんな敗者に寄り添うような物語(意訳)」と解説されたことを思い出し、胸が締め付けられる思いでした。

 

 その後はやはり毒入りの酒を呑まされ、酔っ払った酒呑童子は寝床へ。武装した頼光たちの前に現れた酒呑童子は、怒りを露わにした「顰」の面を着けて現れ、最後はやはり討たれて物語は終わりました。

 

 

 余韻に浸りながら、帰り際に謡本(能の台本のような冊子)が販売しているのを見つけて即座に購入。

 

大江山』の謡本(うたいほん)

 

 それぞれの酒呑童子を噛み締め、古典芸能ツアーは幕を閉じたのでした。

 

youtu.be

※動画は今回観劇したものとは別のものですが、内容は一緒なので興味あったらご覧ください

 

泉岳寺へGo

 話は少し遡って、8月の歌舞伎観劇後。

 さて家に帰りましょうかと地下鉄に乗り込もうとすると、同じ路線に「泉岳寺」の文字が。

 

 泉岳寺といえば『忠臣蔵』の「赤穂浪士」、そしてスタァライトで『忠臣蔵』といえば――シークフェルトは気高き君エーデルによる戯曲『ロイヤルリテイナー』。

 

 フォロワーが何人か泉岳寺へお参りに行っていたのを思い出し、家に向かおうとしていた足は泉岳寺へと向かいます。

 

 都会の中に、ひっそりと佇む泉岳寺。そこだけが隔絶された空間のようでした。

 

泉岳寺の門

大石内蔵助の像



 

 御朱印を頂戴し、四十七士が眠るお墓へ。

 

この先に四十七士のお墓がズラリと並ぶ

 

 供え物を持っていなかったので、お線香を購入して四十七士の墓前に一本一本お供えしていきます。

 

 炎天下の中、汗だくになりながら立ったりしゃがんだりを繰り返し、夢中になってお線香をお供えし続けました。

 

 お参りを終え、墓所から去ろうとすると、50回近く荷物を持ちながら炎天下の中で立ったりしゃがんだりを繰り返したために、脚が棒のようにガクガクしたのも、良い思い出です。

 

 その足で新橋にある和菓子屋・新正堂さんに立ち寄り、義士ようかんをお土産に、8月の歌舞伎観劇と泉岳寺参拝を終えたのでした。

 

 

おわりに

 古典芸能、と聞いて敷居が高く、非常に畏れ多いものだと思っていましたが……今回の観劇を通じて、歌舞伎も能も面白く、他の演目も観てみたいなと強く思うようになりました。

 

 夢大路にどハマリしたところから始まり、まさか歌舞伎と能を観劇することになるとは思っていませんでした。これもまた、運命なのでしょうか。

 

 昨今の派手な演出や技巧が詰まった大道具を駆使した演劇やミュージカルも素晴らしいものが幾つもありますが、古来より続く古典芸能にも確かにキラめくものがあります。

 

 最近では歌舞伎も能も新作としてアニメやゲームの人気作品を取り入れたものもありますから、一度で良いので是非、生で古典芸能のキラめきを浴びてみてはいかがでしょうか。

 

 踏み出すキッカケは人それぞれ、夢大路がキッカケでも良いじゃない。なんてことを思った、夏の思い出。

 

 最後に、凛明館の『大江山』と気高き君エーデルの『YIN-YANG』が何らかの形でいつか拝めますように!

 

 ここまでお読みいただき、誠に有難う御座いました。

 

 

 

 


2023.12.09 骨格標本(@fracture1110)


youtu.be